By Charlie Custer
Updated on September 12, 2019, 11:00 AM

IEOの投資パフォーマンス、取引所によって明暗


ICOはもはや目新しい存在ではない。STO(セキュリティ・トークン・オファリング)も、個人投資家にとって、ベンチャー投資と同様に手の届かない存在である。そこで、暗号通貨取引所が「ICOに変わる新しい釣り文句」として仕掛けてきたのがIEOだ。

 

本来、IEO(Initial Exchange Offering)は、取引所が管理および監視を担当する「信頼できるICO」として生まれた。そのため、少なくとも建前上は、詐欺の可能性の低いトークンが売り出されるはずだ。その際、IEOに参加するには、取引所の発行する「取引所トークン」での払い込みが要求されることが多い。そのため、人気IEOプロジェクトに参加したい投資家たちは、特定の取引所トークンの購入に殺到した。

 

しかし、IEO投資家たちは、かつてICO投資家たちが2017年の暗号通貨バブルの際に得た10倍、100倍の利益を手もすることができているのだろうか? われわれは、IEOの実態を追跡するサイト「Coincodex」のデータを調べてみた。

 

具体的な数字をみてみよう。2019年前半にIEOの売り出しが完了し、2019年9月2日時点でアクティブに取引されているトークンを調査対象とした。ただし、IEO価格が0.000001ドル未満のトークンは除外された。Coincodexでこれらの条件に該当するプロジェクトは77件。そのうちの3分の2はIEO投資家が払い込んだ価格を下回り、全プロジェクトのROIの中央値は-81.4%であった。


それだけでもひどい結果だが、現実はもっとひどい。今回の調査対象は「アクティブに取引されている」トークンのみで、統計結果にはすでにプロジェクトが放棄されたり、トークンが無価値になったプロジェクトは含まれていない。これらの「泡沫プロジェクト」の数は不明である。


さらに、利益が得られたプロジェクトでさえ、よくよく見ると「ムーン(価格高騰)」とはいえない。ROIがプラスとなった上位3分の1のプロジェクトのROIの中央値は、64%しかない。ROIの平均をとると、178%と高い数字だが、これは数件の例外的なプロジェクトが平均値を釣り上げたものにすぎない。収益性の高いプロジェクトでさえ、その多くは、投資家の投資額を2倍にはできなかった。

 

個人投資家は、単にビットコイン(BTC)を買っておけばよかったのだ。ほぼ同じ期間(2019年1月~9月)に3倍近いリターンが得られていたはずである。海のものとも山のものとも知れぬIEOに投資するリスクを考えれば、IEO投資のリターンはかなりひどいといえる。われわれが調査したIEOプロジェクトの中で、ビットコインより高い収益を上げているのは4つだけであった。このことは、IEO投資家の95%は「ビットコインに投資した方がよかった」ことを意味する。

 

投資家にとって好ましいニュースもある。それは、すべての取引所のIEOが等しく低パフォーマンスであったわけではないことだ。データセットは限られており、トークンのパフォーマンスは必ずしも取引所の優劣とは関係がないことに留意しつつ、Coincodexのデータの検証を行った。すると、取引所ごとに売り出されたIEOのROIの中央値には大きな差があった。


以下のグラフは、2019年前半に4件以上のIEOの売り出しを行った各取引所(円の大きさは各取引所が売り出したプロジェクトの総数を示す)のROIの中央値を明らかにしたものである。

 

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最高だったのは取引所大手のバイナンス(Binance)だ。同社が売り出した4つのプロジェクトの平均ROIは203%であった。Gate.io、フォビ(Huobi)、OKExの各取引所も、ROIの中央値がプラスだった。その対極にあるのは、平均ROIが-90%未満の取引所だ。これらの取引所のプロジェクトに100ドル投資した投資家は、10ドル返って来たとしても幸運だったといえる。

 

短期間で好成績を上げるIEOが増えていく可能性は指摘しておく。たとえば、PADataの調査によると、多くのIEOは取引所上場日にIEO価格から上昇した。


全体的に見て、Coincodexのデータは、IEOは「本物の金」というより、むしろ「愚か者の金」であることを示唆している。しかし、IEOの中には、まぎれもない「ダイヤモンド」も含まれていることを、データ上認めざるをえない。ただし、ダイヤモンドを拾いたければ、まずはIEOを行う「取引所選び」から始めた方がよさそうだ。

 

アップデート:2019年9月6日に更新済み。某取引所からCoincodexのデータの正確性について異議の申し立てがあったため、当該取引所への言及部分を削除した。


(英語版:https://www.longhash.com/news/so-far-this-year-ieos-have-been-a-bad-investment-but-some-exchanges-are-much-better-than-others



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