分散型金融 - DeFi- はなぜ成立するのか、注目が集まる理由とは?
DeFiというムーブメント
DeFiという言葉が海外で頻繁に使われるようになりました。Decentralized Financeの略です。またOpen Financeと呼ぶ人もいますが、おおよそ同じ使われ方をしています。
この呼び方自体はマーケティング用語ですし、ムーブメントのようなものです。どういったものかと簡単に述べるのならば、Ethereum上でスマートコントラクトで稼働する金融システムのレイヤーです。
このカテゴリのプロジェクトは例えば、以下のような分野に分類できます。
・分散型取引(0xなど)
・証券発行(Polymathなど)
・債券発行(Dharmaなど)
・借り入れや貸付(Compoundなど)
・価格安定通貨・ステーブルコイン(MakerDAOなど)
これらの様々な機能をそれぞれ別々のプロジェクトが取り組んでおり、それら全体を概観してDeFiと呼ばれます。
どのようなプロジェクトが存在するかはこちらのインフォグラフィックが詳しいです。
この分散型金融には次のようなメリットがあるとされています。
一つ目は、銀行口座・クレジットカードが必要なく、銀行口座を持てない層の人たちが金融システムにアクセスできるようになること。2つ目は24時間、週7日間いつでもどこからでもアクセスできるようになること。3つ目は検閲耐性。管理者がユーザーの個人情報を勝手に取得することができないこと。4つ目はスマートコントラクトによって制御されていることによってコンプライアンスにかかるコストを減らすことができることです。
DeFiの本質とは何か
では、このDeFiの本質とは何なのでしょう?
それは「スマートコントラクトコラテラル経済圏」ではないでしょうか。金融において「誰かの資産」は「誰かの負債」であり、それをスマートコントラクトで制御してコードでブロックチェーン上で再現してるのが今起きていることです。
例えば、日本円というあなたの持つ資産が資産たり得るのは、日本銀行が国債を発行しその負債に裏付いてるからです。また、あなたのバランスシートで右側にある売掛金は、誰かの買掛金であり、全ての資産と負債は対照的です。
分散型金融では、これをコードで制御しようとしていると考えられます。分散型で管理されるStablecoinのDAIを見てみましょう。MakerDAOのCDPのスマートコントラクトにETHが担保にされ、「誰かがCDPを将来返済するはずである」あるいは「担保プールに間違いなくETHが存在する」ということをベースにした誰かの負債によってDAIが成立し、二次流通できていると言えます。
さらにDeFiのようなものが何故今成立しようとしているかは、BitcoinやEthereumのように安全で公共性があるファーストレイヤーが存在してるからでであって、もしファーストレイヤーにノードが10個しかないネットワークであれば、今のようなエコシステムは再現できません。
「パーミッションレス」、つまり誰でもどんな人でも自由に参画できて、それでもネットワークの秩序が保たれるという分散コンセンサスの成立が革新的であり、それがあるからこその経済圏だと言えます。
このDefiは、やはり大きな影響を持つムーブメントで、普段仮想通貨やブロックチェーンとはあまり関わっていない人でも、金融や投資にかかわる仕事をしていたり、興味を持っているならば知っておかなければならない分野でしょう。
この記事の筆者、平野淳也は東京を拠点にブロックチェーン業界リサーチ、プロダクト開発、コミュニティ運営を行うHashHubのCEOです。