By Joseph Young
Updated on November 15, 2019, 12:30 PM

韓国のビットコイン市場が低迷から抜け出せない理由



韓国の暗号通貨取引量は、アメリカと日本に次いで世界第三位である。ところが、その韓国での取引量が、2018年以来急激に減少している。

 

2017年12月、韓国での暗号通貨の需要は過去最高を記録。そのとき発生したのが、いわゆる「キムチプレミアム」だ。韓国市場におけるビットコイン価格は当時、海外市場での価格に比べて何と最大54%のプレミアムが上乗せされて取引されていたのである。

 

ビットコイン価格の暴落後、韓国政府は、外国人による韓国での暗号通貨取引の禁止と、取引所による厳格な身元確認手続(KYC)の義務化という2つの政策を打ち出し、韓国市場における安定の取り戻しに努めた。

 

しかし現在、韓国の主要な暗号通貨取引所では取引高が著しく減少している。これは、暗号通貨という資産クラスに対して、価格、需要および全体的な関心が停滞していることを意味する。


例えば、韓国でUPbit(アップビット)と並ぶ最大の暗号通貨取引プラットフォームであるBithumbの日次取引量は、2018年10月以来83%減少し、120万BTCから20万BTCとなった。


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無論、このような価格の下落は韓国だけの現象ではない。Bitcoinは、Coinbase、BitMEX、Bitfinexといった世界の主要取引所において、ビットコイン価格は過去最高の19,961ドルから約55%下落し、イーサリアムやXRPを含む他の主要なアルトコインも、米ドルに対して85~97%下落した。



韓国におけるビットコイン取引量の減少要因

 

韓国の三大取引所におけるビットコインおよびその他の暗号通貨の取引量が減少した主な原因は、暗号通貨取引に対する規制の枠組みがあいまいだったこと、2018年1月のビットコイン価格の暴落、およびアルトコインの低迷にあるようだ。


強気相場がピークに達したとき、韓国のミドルクラスの人々は熱狂した。ミレニアル世代や多くのミドルクラスの投資家にとって、不動産ブームが去った後、暗号通貨は貧乏人が金持ちになれる新たな希望だった。だが相場が下落すると、一般投資家たちは、ビットコインなどの暗号通貨に危険な投資をした報いとして多大な損失を被ってしまったのだった。

 

韓国政府の公式見解は錯綜し、事態の収拾に何の役にも立たなかった。2018年1月、朴相基(パク・サンギ)元法務省長官は、暗号通貨の国内取引所を通じた取引を禁止すると発表した。

 

ついで、パク氏は「仮想通貨には大きな懸念があり、法務省は取引所を通じた仮想通貨取引を禁止する法案を準備中である」とも発言。

 

その後、一転、財務省長官が 「禁止措置は行わない」 と述べると、政府は仮想通貨取引所の合法化に舵を取り、投資家を混乱させた。

 

一方で、出来高の減少は、法定通貨(ウォン)との換金性と関係がある。BithumbとUPbitは韓国最大の暗号通貨取引プラットフォームだが、UPbitは韓国のほとんどの大手銀行と提携することで、より幅広い投資家やトレーダーに入出金サービスを提供することができた。

 

それとは対照的に、Bithumbは農業銀行と戦略的な提携をしたが、この農業銀行を通じてしか韓国ウォンの入出金ができなかった。


上記の理屈によれば、UPbitは韓国の大手銀行からサポートを受けているので、理論的にはBithumbよりもはるかに多くの取引量があるはずである。だが実際はどうだろうか? その真偽は過去6ヶ月間の実績を見れば明らかだ。今年の2月から8月にかけて、UPbitはBithumbよりも多くの取引を記録し、とくにビットコイン価格が年間最高値の14,000ドルをわずかに下回る水準にとどまった4月から7月までの3ヵ月間ではこの傾向が顕著だった。

 

2018年下半期にUPbitの取引量が急激に減少したのは、検察が同社の不正取引疑惑を捜査したためとみられる。2018年5月に、韓国検察当局が複数の容疑で家宅捜索を行うと、UPbitの取引量は80%近く減少した。


検察は昨年12月、UPbitの元出資者4人を相手取って訴訟を起こした。その後、捜査が中断されると、UPbitでの取引量は徐々に回復している。

 

2018年12月、UPbitチームは次のように述べた


「本訴訟は、9月24日から12月31日までの3ヵ月間に行われた取引の一部と関連がある。これは当社が開業準備を進めていた時期で、この3ヵ月の間にUpbitは営業を開始した(10月24日開業)。それ以降にUpbitで行われたすべての取引は、本件とは関係がない」


「当社は8ヵ月におよぶ捜査期間中、検察当局に対して誠実な説明を行った。Upbitは、偽装取引(クロストレーディング)や架空の注文(流動性の供給)、詐欺的な取引は一切行っていない。わが社は、実際には保有していない通貨を取引したり、従業員に利益を供与したりもしていない」


UPbitの運営はKakaoと深い関係があり、国内最大の証券取引所のKakaoStockも運得するDunamuが行っている。UPbitに対する捜査が世間を騒がせたため、暗号通貨という資産クラスを支えるインフラに対して国内投資家の信頼が低下した可能性が高い。

 


取引量は回復するか?

 

2018年以降、韓国では大手銀行のサポートにより、新しい仮想通貨取引の波が訪れている。Gopaxは、韓国第2位の都市銀行である新韓銀行の支援を受けており、新韓銀行の口座を持っていれば、暗号通貨口座からほぼ瞬時に暗号通貨残高をウォンに替えて引き出すことができる。


暗号通貨取引のインフラが改善され、銀行サービスに関する透明性が向上すれば、投資家の信頼は長期的に回復する公算がある。

 

韓国は、「G7」や「マネーロンダリングに関する金融活動作業部会」(FATF)によるガイダンスの発表を受けて、暗号通貨取引所と投資家のために、より明確な枠組みの構築に着手し、企業にとってより安定した環境をつくり出そうとしている。

 

韓国の金融当局はFATFのガイドラインを受けて、管轄下の暗号通貨取引所に対し、G7の金融監督当局が定める要件に従うよう要請している。

 

取引所にとどまらず、広く「暗号通貨サービス業」とみなされる企業に対してFATFが課した要件は2つ。匿名暗号通貨の上場廃止と、マネーロンダリングを防止するためのより厳格な身元確認手続(KYC)の導入である。


FATF側は、「われわれは、暗号通貨取引に伴うマネーロンダリングおよびテロ資金供与のリスクを軽減する責任がある。暗号資産サービス提供者に対する効果的な規制および監督・監視のため、より詳細な実施要件を策定中だ」と発言している。


Bithumb、UPbit、Korbitといった韓国の主要な暗号通貨取引所は、現在、2019年2月のFATF全体会合で策定されたガイドラインに従っている

 

UPbitは2019年9月、FATFのガイドラインに準拠するため、プライバシー重視の暗号通貨の上場を廃止した。Korbitは、Moneroや他の匿名暗号通貨の取引も禁止しているが、Bithumbは、いまだにウォンとのペアでMoneroを上場させている。



韓国での取引環境の変化は期待できるか?

 

Bithumbにも問題はある。現地の報道によると、BXA ConsortiumによるBithumbの買収が頓挫したため、Bithumbは旧経営陣による買収で再編成されるかもしれない

 

ZDNet Koreaによると、BXA Consortiumは2018年10月、BTC Holding Company(Bithumb)の株式51%を3億4,500万ドルで取得することに合意した。BXA Consortiumは、3億4,500万ドルのうち1億1,200万ドルを支払い、残りの支払いを9月30日に延期したが、合意日までに支払いを完了することができなかった。今回、Bithumbのキム・ジェウク前共同代表が買収に成功すれば、VidenteがBithumbの株式の32.74%を保有し、筆頭株主になる。

 

暗号通貨取引市場のトップの座は、BithumbとUPbitが独占している。しかしながら、BithumbがBXAコンソーシアムとの買収契約の締結に難渋したことや、昨年末にUPbitの捜査を受けたことを考慮すれば、Videnteにはまだまだチャンスがありそうだ。

 

韓国が世界的な暗号通貨マーケットとして存続する可能性は依然高い

 

Coinhillsが発表したデータによると、韓国のウォンは、ビットコインと取引される世界第三位の通貨であり、世界のビットコイン市場の3.05%を占めている。

 

韓国政府は現在、より明確な規制の枠組みを構築に尽力している。同国の暗号通貨市場は、政府の支援を得て、長年にわたって拡大する可能性がある。

 

釜山(プサン) と済州(チェジュ)には、それぞれブロックチェーンと暗号通貨関連企業のために経済特区が設けられ、暗号通貨産業が育成されている。

 

韓国の主要取引所における暗号通貨の取引高は顕著に減少したものの、今後、政府の支援を受けて、韓国の暗号通貨市場はアジアにおける中心的な地位を維持する可能性が高い。



(英語版:https://www.longhash.com/en/news/3204/Bitcoin-Volume-of-South-Korea%E2%80%99s-Top-Exchanges-Struggles-to-Recover.-Why%3F



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