By Jonathan Joe Morgan
Updated on July 30, 2019, 14:30 PM

暗号資産デリバティブのブームが到来

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暗号資産デリバティブ市場が今、急激な成長を遂げようとしている。CoinFLEXのCEO、マーク・ラム(Mark Lamb)氏は、最近の為替取引の急増の中で、2020年末までにはこれがビットコイン(BTC)スポット市場の20倍の規模になると予想した。


「今後はますます、この分野にチャンスを見出すヘッジファンドと金融専門家が増えるだろう」と語るのは、東京の暗号資産リクイディティプロバイダー B2C2 JapanのCEO、フィリップ・ガレスピー(Phillip Gillespie)だ。 「この動向から、デリバティブ取引所での取引量とエコシステム全体への流動性が増加していることが分かる。まさに興味深いフィードバックループだ」。


新興アセットである暗号資産デリバティブは価格が上昇しても下落しても賭けが可能という点が特徴で、投資家の間でも注目のトレンドだ。当初の持分よりもはるかに大きな利益を得るチャンスがある商品だが、投資家が間違った賭けをした場合そのポジションは清算され、すべての資金が失われるという怖さもある。デジタル資産のボラティリティが高いことを考えると暗号資産はリスクが高いとも言えるが、これがハイリスク・ハイリターンの面白さだ。


ニューヨークを拠点とする暗号資産取引所LedgerXは、7月にビットコインコールオプション商品を発売。暗号資産先物取引所ErisX(シカゴ)も7月にデリバティブ決済機関ライセンス(DCO)を取得した。これで、ErisXのクリアリングハウスで米国内のデジタル資産先物取引の決済が可能となる。また、CoinFLEX(セイシェル)は、2月に現物引渡の暗号資産先物サービスを開始した。


一方、暗号資産取引所OKEx(マルタ)は、2018年12月に「永久スワップ(Perpetual Swap)」と名付けられた暗号資産デリバティブ商品を発表。BitMEX(セイシェル)は、自社のデリバティブ商品に対して最大100倍のレバレッジを許容した。 暗号資産に特化した情報メディア「The Block」のレポートでは、Bitfinex(香港)が投資家に最大100倍のレバレッジを提供するというデリバティブ商品の計画が明らかになった。


5月に発表された暗号資産データ分析会社ディア(Diar)による調査では、機関投資家の活発な投資に牽引されてデリバティブ取引が記録的な数字に達したことが発表された。 Investing.comによれば、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の5月のビットコインデリバティブ取引量は66億ドル。仮想データ分析会社のスキュー(Skew)では、5月の週末におけるデリビット(Deribit)のBitcoinオプション取引額が約6億ドルだったと報じられた。


サンフランシスコに本拠を置くクラーケン(Kraken)は、6月下旬のKraken Futuresの取引において24時間の取引量が3億5000万ドルを記録したことを公式ブログに投稿。 クラーケンが買収し、Kraken Futuresとして再ブランド化したCrypto FacilitiesのCEO、ティモ・シュレーファー(Timo Schlaefer)氏は次のように述べている。「従来の金融市場と同様、デリバティブが暗号資産市場の成長を促進すると期待している。最終的には、これにより価格のボラティリティが縮小し、市場の効率性と透明性が向上するだろう」。


Kraken Futuresはさまざまなデリバティブ商品に対して、個人投資家と機関投資家の双方に暗号資産ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)で最大50倍のレバレッジを提供している。シュレーファー氏によると、投資家は証券をスポット取引戦略として利用しているため、取引所は顧客の需要に応じてデリバティブ商品のポートフォリオを拡大することを計画中だという。クラーケンの取引プラットフォームにはアルゴリズム取引用のAPIが搭載されており、ローレイテンシのマッチングエンジンと、デリバティブポジションを管理するための即時証拠金システムを提供しているのが特徴だ。


「暗号資産デリバティブ市場の規模は2020年末までに、基盤となるスポットBTC市場の規模の20倍に急増するだろう」とCoinFLEXのCEO、マーク・ラムは語る。 「暗号資産デリバティブはこの業界が誇る進化の一部だ。すべての成長はここから始まる」。


CoinFLEXでは、トレーダーは最大20倍のレバレッジで100ドルまで賭けることができる。 価格が上昇している場合は「ロング」でビットコインを獲得し、価格が下落する場合は「ショート」取引でテザー(USDT)の支払いを受けるのが理想だ。


「仮想デリバティブが魅力的なのは、純資産の多い少ないに関わらず、誰に対してもオープンでアクセス可能であるということだ。従来のデリバティブは債務が関係していたので、富裕層のみしか手が出せなかった」。(CoinFLEX CEO、マーク・ラム)


セイシェルに拠点を有するCoinFLEXは、米国でまだ規制当局の承認を得ていないためアジアに焦点を当てており、先物契約を取引するプロップファーム(自己勘定取引会社)を利用している。


「仮想デリバティブ市場の規模は相当なものだが、その仕組みはとてもシンプル。暗号資産に特化した投資家との取引がしやすいのはメリットだ。また暗号資産を扱う機関だけでなく、小売分野のクジラ、同じ機関やブローカーとの複雑な取引を好まない個人ユーザーとの出会いもある」。


Protos Asset Management(チューリッヒ)の創設者であるフィリップ・カラホフ(Philipp Kallerhoff)氏は、仮想デリバティブは取引コストを削減し、銀行が提供する高コストの暗号資産のカストディソリューションに代わるものを提供できると語る。 「ビットコインの清算や送金は実際面倒だ。投資家はリスクポジションを持ちたいだけのはず」。


B2C2のガレスピー氏によると、暗号資産デリバティブ取引の魅力は、投資家が従来の金融システムを回避できることに重点が置かれていることだという。 「BitMEXがこれほど人気の理由は、ビットコインの送金や担保差し入れが可能だからだ。銀行を通さなくていいのが最大のメリット。もちろん、大手銀行からBitMEXに10万ドルを送金することはできる。だが取引所への電信送金を扱っていない銀行も一部存在するだろう。ビットコインのみを扱うBitMEXなら、こういった問題を一切排除できる。同様の取引所が急成長した理由はここにもあると思う」。


だが同氏は、取引所ではKYC(本人確認)およびAML(マネーロンダリング対策)の手順を改善する必要があると語る。また、金融取引のビジネスセンスが不足した技術者が率いる企業が暗号資産デリバティブ分野に新規参入すると「大失敗する」とも警告している。


「自分が何をしているか分からない新興企業や取引に対して過度のレバレッジを提供し、さあどうぞ取引してください、と言うことが最も危険だ」。


(英語版:https://www.longhash.com/news/the-coming-crypto-derivatives-boom




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