By ジェフ・チャン
Updated on April 12, 2019, 15:19 PM

仮想通貨、マイニングからステーキングの時代へ


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今年2月、機関投資家向けにステーキング・サービスを提供しているStaked.us(ステークド.us)がシードラウンドで450万ドルの資金を調達した。ブロックチェーンの有力な投資会社パンテラ・キャピタルが幹事を務め、コインベースなど多くの出資者が参加した。プルーフ・オブ・ステーク(PoS)関連の技術が機関投資家の注目を集めているのだ。

 

PoSは、マイニングではなくトークンの保有量に基づくコンセンサス(合意形成)・アルゴリズムで、保有する量に応じてブロックを生成する権利が得られる。ビットコインをはじめとする大半の仮想通貨が採用しているプルーフ・オブ・ワーク(PoW)は、計算の速度と作業量を競い合うため、マイニングを行う高性能のコンピュータが膨大な電力を消費する。それに対し、PoSはマイニングなしでコンセンサスを得られるため、電力消費量が少なくて済む。

 

一般的なPoSのアルゴリズムは、トークンの保有量と保有期間の要素にランダム化を組み合わせている。PoWは、難しい複雑な計算を「最初に」解いたマイナーが次のブロックを生成する権利を認められ、報酬を得る。

 

一方のPoSは、保有するトークンをブロックチェーン上にステークした(固定する/掛け金とする)アカウントの中からランダムに、次のブロックを生成する権利を認める。基本的に、ステークしたトークンが多いほど、選ばれる確率は高くなる(したがって報酬を得られる)。つまり、より多くのトークンを掛け金として差し出せば、より多くの報酬を得やすくなる。

 

PoSの技術への関心は高まっている。Staked.usの出資者は、今年末までにブロックチェーンを使ったネットワークの4分の1がPoSを採用するだろうと見る。それに合わせて、Staked.usのようにステーキングをサービスとして提供する市場は25億ドル規模に成長すると言われている。

 

関心が高まっている理由の1つは、時価総額でビットコインに続く第2位(本稿の執筆時点)の仮想通貨イーサリアムがPoWからPoSへの移行を予定していることだ。やはり人気の高い仮想通貨のイオス(EOS)は、デリゲーテッド・プルーフ・オブ・ステーク(DPoS/トークンの保有量に応じて投票権を割り当て、投票によってブロックの生成を委任する人を決めて配当金を得る仕組み)と呼ばれるアルゴリズムを採用。コスモス、ポルカドット、カルダノ、ディフィニティなど、近年注目されている仮想通貨の大多数がPoSを採用している。

 

PoSの人気が上昇するにつれて、ステーキング関連サービスへの関心も高まっている。

ステーキング機能を提供しているSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス/サービスとしてのソフトウエア)には、機関投資家向けのノードの運営サービスと、個人投資家向けのカストディ・サービス(資産の保管や管理を請け負う)の大きく2種類がある。

 

機関投資家向けのサービスにはStaked.usのほかにStakecapital(ステークキャピタル)やP2P Validators(バリデーターズ)などが、個人向けにはWetez(ウェテズ)、Cryptium Labs(クリプティウム・ラブズ)、Figment(フィグメント)、Stakewith.us(ステークウィズ.us)などがある。それぞれ対象とする顧客は違うが、基本的に同じサービスだ。あなたが保有するトークンを使ってステーキングを代行し、あなたのノードがブロック生成の権利を承認されて報酬を得たら、5~25%の手数料を取る。

 

ステーキングで得られる報酬の種類は、トークンによってかなり異なる。それぞれのトークンの価格(レート)は変動するため、報酬として得るブロックの価値も変動する。ステーキングの長所は、仮想通貨の投資家にあらかじめ報酬の予測を提示できることと、マイニングと違って高価な機器や膨大な量の電力が必要ないことだ。

 

かなり単純にたとえるなら、固定金利がついた債券に似ているかもしれない。額面の価格は変動しても、債券がもたらす利率(つまり、PoSでトークンのステーキングがもたらす報酬)は変わらない。

 

もうひとつの長所は、トークンをブロックチェーン上にステークすることにより、その量に応じて「投票権」が与えられることだ。マイナーは、PoWを採用したブロックチェーンのプロジェクトが発展する方向性に影響を及ぼし得る。同じようにPoSのアルゴリズムでトークンをステークした人は、投票にかけられた問題に関して発言権を得る。さらに、共有のリソースやサービスなどへのアクセスを、報酬として得られるかもしれない。

 

技術としてのステーキングは、前述のステーキング・サービスのほかにもさまざまなトークンやウォレットで採用されている。特に中国で急速に広まっており、たとえば次のようなプロジェクトが始まっている。

 

●Huobi Pool(フォビ・プール)

PoWとPoSの双方を取り入れているマイニング・プール。たとえば、Huobiの仮想通貨取引所でイオスの金利が高いときは、イオスのバリデーター(トランザクションの承認者)を投票で決める。トロン(TRON)、オントロジー(ONT)、サイバーマイルス(CMT)など、PoSを採用している仮想通貨も取り扱っている。

 

●Cobo Wallet(コボ・ウォレット)

PoSのマイニングによって報酬を提供する仮想通貨ウォレット。シリーズAラウンドの資金調達では、ブロックチェーン技術に投資している米ダンフア・キャピタルから1300万ドルを調達した。DASH、VET、DCRなど、さまざまなPoSマイニングのプロジェクトに関与している。

 

●Wetez(ウェテズ)

テゾス(Tezos)のバリデーター・サービスの中国最大手で、PoSのトークン専用のウォレットも提供している。Wetezのウォレットで仮想通貨を保有する人は、さまざまなバリデーターにブロックの生成を委任して報酬を得ることができる。コスモス、カルダノ、ポルカドットなどのPoSプロジェクトを取り扱うウォレットの提供も計画している。

 

●Hashquark(ハッシュクォーク)

ワンシャン・ブロックチェーン研究所の支援を受けているマイニング・プールで、PoSの分野に早くから参入している。PoSとDPoSのコンセンサス・アルゴリズムに特化して、ステーキング・サービスの利用者に報酬を分配している。

 

これらはほんの一部にすぎない。中国だけでなく世界中で数多くのプロジェクトが、PoSに基づくサービスを組み込もうとしている。

 

PoSは始動したばかりだ。イーサリアムが実際にPoWからPoSに移行すれば、ステーキングの技術はかつてないほど注目されるだろう。Staked.usなどの資金調達が盛況であることを見てもわかるように、一部の投資家はブロックチェーンにおける新たな利益の構造に期待している。ステーキングが広く知られるにつれて、それを取り巻くビジネスのエコシステムが成長し、多様化するだろう。

 

ブロックチェーンの基本的な技術を改良したコンセンサス・アルゴリズムが、新たな利益を生み出しつつある。イーサリアムはその大きな原動力になりそうだが、仮に失敗しても、ステーキングを採用している多くの仮想通貨が待ち構えている。


英語版:https://www.longhash.com/news/304

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