By Kyle Torpey
Updated on April 19, 2019, 17:10 PM

オピニオン:BSV上場廃止が仮想通貨業界に意味すること

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この2週間ほど、ビットコインのツイッターは、ビットコインSV(BSV)の話でもちきりだ。事の発端は、BSVの運営幹部らが、ビットコインコミュニティーに脅迫めいたメッセージを送っていたこと。これを受け、バイナンス(Binance)やクラーケン(Kraken)など有力仮想通貨取引所が相次ぎBSVの上場廃止を決めた。

BSVは、ビットコインキャッシュ(BCH)から昨年11月にスピンオフしたオルトコインだ。今回の複数の取引所による上場廃止決定について、仮想通貨コミュニティーでは賛否両論が飛び交っている。


上場廃止を決めたバイナンスを支持する声もあれば、複数の取引所による仮想通貨の検閲だと批判する声もある。また、上場廃止は取引所が自らのユーザーを傷つけることになると指摘する声もある。


そこで、今回の事件が仮想通貨業界に何を意味するのか考えながら、それぞれの主張を少し詳しく検討してみたい。


★BSV上場廃止は検閲ではない★


バイナンスによるBSVの上場廃止について、「取引所による検閲だ」という批判は最もよく見られる反応の一つだ。ビットコイン自身が反検閲という哲学を持つのにおかしいというのだ。


だが、ここで「検閲」という語を使うのは、ちょっと変だ。大手取引所が、出資金詐欺で米司法省に目をつけられたワンコイン(Onecoin)やビットコネクト(Bitconnect)の上場を認めなかったことも、検閲と呼べるだろうか。スーパーマーケットが、ある農家の腐った果物や野菜を陳列するのを拒否したら、それは検閲と言えるだろうか。


検閲に強い決済プロトコルを作ることと、こうしたプロトコル上でビジネスを運営することは別の問題だ。


ある通貨を取引所から取り除くことは、検閲とは異なる。取引所は一種のキュレーターであり、自らの裁量で好みの通貨を上場させたり、上場廃止にすることができる。それぞれのネットワークは無法地帯ではなく、ネットワーク全体を管理する中心的なエンティティーが存在する。


ひとことに仮想通貨取引所といっても、どちらかといえばリベラルな上場ポリシー(506 trading pairs according to OpenMarketCap)を持つ取引所もあれば(バイナンスなど)、保守的な上場ポリシー(they only list 5 cryptocurrencies for trade)を持つ取引所もある(ジェミニなど)。さらにビットフィネックス(Bitfinex)やポロニエクス(Poloniex)など、引き続きBSVを取り扱っていくことに前向きな取引所もたくさんある。


ある仮想通貨が存在するからといって、すべての取引所がそれを上場させなければいけないわけではない。そんなのは「検閲」という言葉の馬鹿げた解釈だ。それでは各取引所が独自の決断を下す権利を制限することになる。


最もダークな市場でさえ、どの通貨を取り扱うかに関しては独自の基準を持つ。


★取引所はユーザーに害を与えているのか★


BSVの上場を廃止した取引所は、ユーザーに害を与えているという主張もある。バイナンスが上場廃止を発表したところ、BSVの価格が急落したことがその証拠だという。


だが、ユーザーに真に害を与えたときがあるとすれば、それはBSVを上場させたときだ。このような質の低い通貨を取り扱うことは、取引所の顧客を極めて大きなリスクにさらすことになる。


BSVはBCHのスピンオフだったからこそ、ほぼ自動的に上場が認められたのであり、BCHもビットコインのスピンオフだったからこそ上場できた。これはビットコイン保有者に無償配布することでオルトコインを立ち上げる利点の1つだ。つまり取引所は、ある意味でこうした通貨をサポートせざるを得ない。


バイナンスのような取引所に上場している通貨のうち、はっきりした理由もないのに価格が20%下がりする通貨は決して少なくない。それどころか取引高が少ない多くの仮想通貨にとって、この種の乱高下は日常茶飯事だ。BSVの価格が20%急落したことが懸念すべきことであるなら、大手取引所から上場廃止されるべき通貨は、ほかにもたくさんある。


確かに、バイナンスのような大手取引所がある通貨の上場を廃止すれば、その価格に影響を与えるだろうし、上場廃止をするにしても、もっとうまいやり方があったかもしれない。しかし選択肢としてほかにどんなものがあっただろう? ワンコインやビットコネクトのような詐欺を野放しにしておくのは、本当に長期的にユーザーを守ることになるのだろうか。


もう一度強調しておくと、問題はそもそもBSVを上場させたことであり、上場廃止の判断ではない。今回の教訓は、仮想通貨取引所は上場させる通貨をもっと慎重に選ぶべきだということだろう。


★仮想通貨業界はまだアマチュア★


だが、最大の教訓は、ビットコインや仮想通貨業界に関して、私たちはまだ駆け出しの時期にあることだ。


今回の騒動が起きたのは、仮想通貨情報サイト「コインマーケットキャップ(CoinMarketCap)」に記載されている取引量は95%がフェイクだという報告書が発表された直後のことだった。


基本的に、多くの取引所には明確な上場基準がない。バイナンスにしても、価値提案が疑わしい独自のトークンがあるし、盗用したホワイトペーパーに基づき資金を調達したトロンとの提携もある。


要するに、BSVの上場廃止は例外的な出来事にすぎない。取引所コインベースも素人をターゲットにしたプラットフォームで、関連動画を見れば無償で仮想通貨トークンをもらえるキャンペーンを行なっている。なお、XRPの上場を巡る意見はこちら


もっと言えば、ビットコインそのものも、ポートフォリオとして考えたとき、まだリスクの高い資産だ。前述のとおり、BSVは事実上、ビットコインとの融合から生まれた。BSVとBCH(どちらも「ビットコイン」を名称に含む)がまともなプロジェクトとして大きな注目を集めることができるのは、ビットコイン自体にとって(少なくとも一時は)問題だった。


ビットコインは2018年11月、セグウィット2x(SegWit2x)ハードフォーク分裂が予定されていたが、直前に無期延期が発表された。BCHやBSV、SegWit2xなど多くの孫プロジェクトは、当初こそ、ビットコインの安定と信頼性に問題を生じさせたが、非政治的通貨というビットコインの基本的な価値提案を破壊する試みを乗り切り、今はずっと強くなった。


一部の取引所やプロバイダーは、そもそも自分たちはBSVを上場させなかったとPRしている。それはそれで大いに結構だ。とりわけジェミニは、長期的なブランド構築を目指して、上場プロセスに慎重なアプローチをとってきた。


取引所は、ユーザーに提供する通貨をよく検討する必要がある。興味深くて持続可能なプロジェクトと、実のところ何の価値もなく、一夜にして崩壊しかねないプロジェクトの線引きをどこにするかは、各取引所の判断次第だ。


仮想通貨取引所が、BSVの上場廃止によって育てたいとする取引環境を本当に作り出すには、まだまだやるべきことがたくさんある。


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