By Nick Chong
Updated on August 22, 2019, 13:28 PM

ビットコイン(BTC)に正統派ファンドからの注目集まる

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これまで正統派の投資家たちは、ビットコイン(BTC)を「はやり病」のようなものだと考え、関わりあいを避けてきた。投資の神様ウォーレン・バフェット氏は、暗号通貨を「殺鼠剤の二乗」と呼び、その後「このプロジェクトには本質的な価値がほとんどない」と言い切った。トランプ米大統領をはじめ、金融や政界の大物たちも、「薄い空気」「裏付けなし」などの言葉を使って、同種の見解を繰り返してきた。

 

ビットコインは従来の株式や資産とは異なり、固定の利回りや配当がなく、キャッシュフローも生み出さない。伝統的な法定通貨やその他の現金等価物と比較すると、ビットコインは国家権力の後ろ盾や原資産の希少性に支えられてはいないのである。このような理由で、正統派の投資家たちのほとんどは、暗号通貨を無視することに決め込んできた。

 

しかし、一部の人々は、低リスクの債券と成長株を加重平均的に組み込んだ「伝統的なポートフォリオ」にビットコインを加えることは、投資ファンドにより魅力的なリターンと許容範囲内のリスクをもたらすと、信じ始めている。

 

理想の分散投資対象


暗号通貨の支持者は、ビットコインは正統派の投資家にとっても、彼らのCAPMを始めとする投資理論に決して矛盾するものではないと主張している。たとえば、バイナンス(Binance)が有する、機関投資家にも引けをとらないほど「グレードの高い」研究部門は、『ビットコインによる分散投資メリット』と題する最新のレポートの中で、複数資産を組み入れた「伝統的なポートフォリオ」にビットコインを加えることで、全体的なリスクリターンが向上すると主張している。

 

バイナンスは、ビットコインはときとして狂ったようなドローダウンに見舞われたり、恐ろしいほどのボラティリティの波にさらされていることを認めながらも、これらは強気相場でしか得られない莫大なリターンを得ようとするならば、甘受すべきリスクなのだと主張する。さらに、ビットコインは、米国株式、新興市場、コモディティ、債券といった伝統的な資産クラスと、有意な相関関係を持っていないので、共倒れになることがない。同社の調査チームは次のように述べた。

 

「ポートフォリオにビットコインを加えてシミュレートを行うと、全体的なリスクリターンの分布は改善された。[...。]  この結果は、ビットコインが効率的なポートフォリオ理論に従って、世界中の投資家にアクティブな分散投資の利益を提供することを意味している」

 

ニューヨークに拠点を置く暗号通貨市場調査会社のDelphi Digitalもまた、2018年12月、ビットコインがピーク時の2万ドルから85%急落したさなかに、同様の主張を発表した。同社の『ネットワークの在り方』と題された刺激的なレポートによれば、「単純階層化アロケーション分析によると、『株式57%、債券40%、ビットコイン 3%のポートフォリオ』は、シャープレシオ(ポートフォリオのリスクリターンのバランスを評価する一般的な指標)が最も高く、最大ドローダウンもシミュレートされたシナリオの中で最小だった。60%の株式と40%の確定利子付き債券を組み合わせた『伝統的なポートフォリオ』と比較して、ひとさじのビットコインを加えたポートフォリオは、ドローダウンが1.5%ほど少ない」という。

 

同チームの研究者らは、ビットコインの好調が今後も続く保証はないことを認めたうえで、「他の高リスク資産の期待収益率が精彩を欠く以上、今後10年間にはビットコインに白羽を立て、小規模な割当から利益を得ようとする者が現れるだろう」という、至極まっとうな主張をしている。

 

ビットコインアナリストの(通称)PlanB氏も、ビットコインの“爆上げ”に先立つ1月に、「99%の現金と1%のビットコインを組み入れたポートフォリオ」は、過去10年間のS&P500の収益率を上回っていると述べている。言い換えれば、人類史上最も成長性のある株式市場の収益率が、最大損失1%という「現存する最も安全なポートフォリオ」の収益率に遅れをとったのである。

 

ビットコインがファンドのリターンを高める能力は証明されていない。ブルームバーグの最近の記事によると、著名ヘッジファンドマネジャーのビル・ミラー(Bill Miller)氏は最近、暗号通貨の活用により、20億ドル規模のファンドのパフォーマンスを向上させたという。ブルームバーグによると、年初来(7月31日現在)、Miller Value Partnersは、ビットコインとAmazonへの資金配分によって46%の利益を上げているが、どちらも急激な値上がりは2019年に入ってからのことだ。


年初以来、S&P500指数は7%上昇し、金相場は16%上昇し、ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイ株は2.5%下落した。一方、ビットコインは約200%上昇している。


ここ劇的なパフォーマンスを上げると、世間も見過ごしてはいない。6月に発表されたレポートの中で、Delphi Digitalはビットコインをすべての資産クラスの中での「キング・オブ・ザ・ヒル」(ガキ大将)と呼んでいる。他の資産クラスが下落するか、上昇のモメンタムを失うなか、ビットコインだけが上昇能力を持っているからだ。下記に掲載したDelphi Digitalのチャートは2019年のものだが、ビットコインと他の通貨との差は一目瞭然だ。


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LongHashの7月の記事は、ビットコインの3,837日間の存在期間のうち、暗号通貨への投資が損につながったわずか期間は60日間にすぎないことを指摘している。

 

ファンド勢の不調

 

これとは対照的に、ヘッジファンドや年金基金はベンチマークやターゲットを達成できないでいる。2019年初め、フィナンシャル・タイムズ紙は、ヘッジファンドはここ数年の利益を完全に吐き出してしまったと報じた。1989年から1999年にかけては、ドットコム・バブルで市場が急拡大したため、ヘッジファンドの平均リターンは年18.3%だった。次の10年間、彼らは年6.4%のリターンをしか得られなかった。そして直近の10年間では、彼らは年3.4%のリターンしか得られていない。年率3.4%は、消費者物価指数で定義される「物価の上昇率」こそ上回っているが、大局的に見れば驚くことではない。

 

年金基金の状況も良くない。ビットコインが4,000ドル以下で取引されていた2018年12月、投資家たちが暗号通貨は死んだ」と宣言したとき、ベンチャー投資家でビットコインの熱狂的支持者として知られるアンソニー・ポンプリアーノ(Anthony Pompliano)氏は、世界中で「年金危機」が起きていると宣言した

 

フェイスブックとスナップチャットの元社員である同氏は、自身のニュースレター『オフ・ザ・チェーン』で、3,000億ドルの資産を持つ米国最大の公的年金基金であるカリフォルニア州公務員退職年金基金の積立率は70%に満たないと述べた。このように火の車となった公的基金は、なにもカルフォルニア州立公務員退職年金基金だけというわけではない。日本でも、年金積立金管理運用独立行政法人が2018年第四四半期だけで9.1%、1,360億ドルもの損失を出した。

 

退職年金基金の支給額が現状を維持し続ければ、受給者からの要求額を満たせない可能性もでてくる。特に日本のような高齢化が進んだ国では、その恐れがますます増大している。

 

「ビットコインがその答えなのかもしれない」と同氏は言う。

 

多くのアナリストが実証したのは、ポートフォリオに暗号通貨を組み入れることで、過去の実績から判断する限り、損失を軽減し潜在的なリターンを改善するため、リスク管理の観点から「合理的」であるということだ。

 

 

ビットコインは不調時のヘッジ

 

それだけではない。

 

ビットコインは、潜在的なリターンを改善する可能性を持つばかりでなく、マクロ経済や地政学的リスクに対するヘッジとしての付加的な価値を持っている。

 

ビットコインは、当初サトシ・ナカモトによって、電子マネーの一形態として位置づけられていた。しかし、多くの経済学者や投資家は、ビットコインを、少なくとも現状においては、ゴールドに代わるデジタル資産だと見ている。ビットコインは今や貴金属と同様、希少で、分散化され、ノンソブリンで、製造が困難で、交換可能であり、世界中に輸送することができる。

 

フェイスブックの元幹部で現在はベンチャーキャピタリストのChamath Palihapitiya氏は最近、CNBCに対し、ビットコインは伝統的な法定通貨システムに対する最良のヘッジだと考えており、ビットコインはマットレスの下に敷く「シュムック保険」(財布のコンドームのような保険)だと語った。

 

CNBCのような主流メディアに登場する銀行のアナリストや投資家たちさえも、ビットコインの持つデフレ性と分散性から、ビットコインの上昇シナリオを信じ始めている。Deutsche Bankの調査部門と信用戦略の責任者であるJim Redは、CNBCの6月のインタビューで次のように語った。

 

「中央銀行からこれほど目の敵にされると、暗号通貨も少しは魅力的になり始める」

 

動き出した市場

 

ビットコインはすでに、ヘッジと分散投資の役割を果たしている。中国と米国は現在、関税合戦を開始する一方、過激な金融政策を実施中である。香港では、抗議デモが数ヶ月も続いており、世界株式市場は下落中である。外国通貨は米ドルに対して下落しており、アルゼンチンのペソは月曜日に15%も下落した。世界各国の債務は、各国が財政支出により経済を押し上げようとする中で、記録的な水準に達している。


しかし、これら事象と時を同じくして、ビットコインは年初から200%上昇の高パフォーマンスをみせている。


暗号通貨の支持者たちは、ずっとビットコイン投資を堅実なものだと考えてきた。しかし今や、むしろ正統派の投資家たちの方が、ビットコイン投資を堅実なものととらえ始めている。


(英語版:https://www.longhash.com/news/bitcoins-appeal-may-be-growing-for-traditional-funds



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